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【文科省】授業で行う英語ディベート
文部科学省が制作した「授業で行う英語ディベートシリーズ」動画9本が、YouTube MEXTChannelにて公開されました。
ご覧いただき、英語ディベート活動を普段の授業に取り入れていただければ幸いです。
【授業で行う英語ディベート】ポスター
授業で行う英語ディベート ダイジェストPV https://youtu.be/1Z_xhjp7Xy4
「英語ディベートのすすめ」 解説・松本 茂 教授 (全国高校英語ディベート連盟副理事長) https://youtu.be/AR8Ljt9Wmx4
秋田県立角館高等学校 「英語ディベートで生徒が変わる」 / 秋田県教育庁高校教育課 「オンライン英語ディベート交流会」 https://youtu.be/5SZNT2CUpw0
岩手県立花巻南高等学校 「視覚教具を活用し段階的にディベートの要素を取り入れていく授業」 https://youtu.be/b6A0LHoOHs4
福井県立敦賀高等学校 「統合的な言語活動で思考力・判断力・表現力を育成する授業」 https://youtu.be/Ng4ozdxj9s0
福井県立福井商業高等学校 「英語ディベートに向けた段階的な指導」 https://youtu.be/eX-BSiChMUM
さいたま市立浦和高等学校 「英語ディベートの手法を活用した授業」 https://youtu.be/GIIVYpAguKg
福井県立藤島高等学校「ディベートで思考力・判断力・表現力を培い評価する英語の授業」 https://youtu.be/2zQfXMX55WY
松本 茂 教授×河野 周 先生 (聖光学院中学・高等学校、高校生英語ディベート世界大会日本代表ヘッドコーチ) 対談 「学校教育と英語ディベート」 https://youtu.be/4eUbLQOE7ZI
シリーズプレイリスト https://youtube.com/playlist?list=PLGpGsGZ3lmbD0lmif11yTsoojv8CWACPB
ジャッジセミナー (2020)
https://sites.google.com/view/nationals-2020/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0
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当日の連絡は基本的にLINEで行います。どうかこのリンクからご登録をお願いします
HEnDA-Rule2020Jpn.docx
HEnDA-Rule2020Eng.docx
henda-topic-20201220.docx
*Revised on Dec 20 th
Judge Sheet (google form) |
https://forms.gle/o789CKRArbBFBWwo6
https://forms.gle/oyT5h1aSvMjsd5XG6
Speaker Prize – Please download the document below, and keep notes
Speaker prize 2020.docx
Judges recommended from each schools, please enter necessary information using the following google form
学校派遣ジャッジの方,ジャッジ配置に必要な情報を入れてください
https://forms.gle/UT1EgXnJhe9Pyupu9
Main judges invited from HEnDA, please enter necessary information using the following google form.
HEnDA招待ジャッジ(メインジャッジの方)以下にご入力ください
https://forms.gle/BurTGRj8168QiJCQ6
どちらか一方該当する方に必ずご回答ください(締め切り12/13)
Please use either of the above, by December 13th
FLOW SHEET.docx
Henda judging seminar 20201025.docx
HEnDA Judge Seminar 20201025.pdf
第14回大会 (2019 群馬)
The 14th All Japan High School English Debate Tournament in Gunma (25-26 Dec 2019)
第14回全国高校生英語ディベート大会 in 群馬 (2019年12月25-26日)
会場:共愛学園前橋国際大学 共愛学園中学校・高等学校(前橋市)
論題:Resolved: That the Japanese government should limit the weekly maximum average working hours, including overtime, to 48 hours (following the E.U.)
第13回大会 (2018)
The 13th All Japan High School English Debate Tournament in Fukui (15-16 Dec 2018)
第13回 全国高校生英語ディベート大会 in 福井 (2018年12月15-16日)
会場: 福井工業大学(福井市)
論題:Resolved: That Japan should legalize voluntary active euthanasia.
※ 以下,準々決勝のうち撮影のあった二試合のみ所収
第12回大会 (2017)
The 12th All Japan High School English Debate Tournament in Saitama (16-17 Dec 2017)
第12回全国高校生英語ディベート大会 in 埼玉 (2017年12月16-17日)
会場:東京国際大学 第1キャンパス(埼玉県川越市)
論題:Resolved: That Japan should significantly relax its immigration policies.
※ 以下,準々決勝のうち撮影のあった二試合のみ所収
第11回大会 (2016)
The 11th All Japan High School English Debate Tournament in Ibaraki (10-11 Dec 2016)
第11回 全国高校生英語ディベート大会 in 茨城 (2016年12月10-11日)
会場:常磐大学高等学校(水戸市)
論題:Resolved: That the Japanese government should adopt a social security system that provides a basic income to all Japanese citizens.
Quarter-Final: Utsunomiya vs. Ina-Gakuen
Final: Shorin vs. Utsunomiya
Commentary: Yoshiro Yano (HEnDA Chief Judge/Professor, Chuo Univ. )
準々決勝:宇都宮高等学校 vs. 伊奈学園総合高校
決勝:翔凛高等学校 vs. 宇都宮高等学校
解説:矢野 善郎(HEnDA審査委員長・中央大学教授)
*解説なし
※ 以下,準々決勝のうち撮影のあった二試合を所収
*解説なし
第10回大会 (2015)
The 10th All Japan High School English Debate Tournament in Gifu (19-20 Dec 2015)
第10回 全国高校生英語ディベート大会 in 岐阜(2015年12月19-20日)
会場:岐阜聖徳学園大学・岐阜キャンパス(岐阜市)
論題:Japan should contribute more actively to the United Nations Peacekeeping Operations by relaxing its restrictions for the Self-Defense Forces.
※ 解説なし
※ 以下,準々決勝のうち撮影のあった二試合を所収
※解説なし
第9回大会 (2014)
The 9th All Japan High School English Debate Tournament in Shizuoka (13-14 Dec 2014)
第9回 全国高校生英語ディベート大会 in 静岡(2014年12月13-14日)
会場:静岡文化芸術大学(浜松市)
論題:Resolved: That the Japanese government should abolish nuclear power plants.
Quarter-Final: Hokurei (Hokkaido) vs. Utsunomiya Higashi (Tochigi)
Final: Eiko Gakuen (Kanagawa) vs. Utsunomiya (Tochigi)
Commentary: Yoshiro Yano (HEnDA Chief Judge; Chuo Univ., Prof. )
準々決勝:北嶺高校(北海道) vs. 栃木県立 宇都宮東高校
決勝:栄光学園高校(神奈川) vs. 栃木県立 宇都宮高校
試合解説
※解説なし
※ 以下,準々決勝のうち撮影のあった二試合を所収
※解説なし
第8回大会 (2013)
The 8th All Japan High School English Debate Tournament in Nagano (14-15 Dec 2013)
第8回 全国高校生英語ディベート大会 in 長野(2013年12月14-15日)
会場:松本大学(松本市)
論題:Resolved: That the Japanese government should remove the tariff on rice imports.
Semi-Final: Kobe College (Hyogo) vs. Saitama Municipal Urawa
Final: Ina Kita (Nagano) vs. Kobe College (Hyogo)
Commentary: Yoshiro Yano (HEnDA Chief Judge; Chuo Univ., Prof. )
準決勝:神戸女学院高等学部(兵庫) vs. さいたま市立 浦和高校
決勝:長野県 伊那北高校 vs. 神戸女学院高等学部(兵庫)
※解説なし
※解説なし
※ 以下,準々決勝のうち撮影のあった二試合を所収
第7回大会 (2012)
The 7th All Japan High School English Debate Tournament in Chiba (15-16 Dec 2012)
第7回 全国高校生英語ディベート大会 in 千葉(2012年12月14-15日)
会場:千葉県立幕張総合高等学校(千葉市)
論題:Resolved: That Japanese universities should start their academic year in September.
準々決勝: 栃木県立 宇都宮女子高校 vs. さいたま市立 浦和高校
決勝:北嶺高校(北海道)vs. 栃木県立 宇都宮高校
※解説:矢野 善郎(HEnDA審査委員長・中央大学准教授)
※解説なし
※解説なし
第6回大会 (2011)
The 6th All Japan High School English Debate Tournament in Ishikawa (17-18 Dec 2011)
第6回 全国高校生英語ディベート大会 in 石川(2011年12月17-18日)
会場:金沢学院大学(金沢市)
論題:Resolved: That Japan should abolish capital punishment.
※ 以下,準々決勝のうち撮影のあった二試合を所収
第5回大会 (2010)
The 5th All Japan High School English Debate Tournament in Gifu (18-19 Dec 2010)
第5回 全国高校生英語ディベート大会 in 岐阜(2010年12月18-19日)
会場:岐阜聖徳学園大学 岐阜キャンパス(岐阜市)
論題:Resolved: That Japan should significantly relax its immigration policies.
第4回大会 (2009)
The 4th All Japan High School English Debate Tournament in Saitama (19-20 Dec 2009)
第4回 全国高校生英語ディベート大会 in 埼玉(2009年12月19-20日)
会場:東京国際大学 第1キャンパス(川越市)
論題:Resolved: That the Japanese Government should prohibit worker dispatching (haken roudou).
Quarter-Final: Nada (Hyogo) vs. Ina Kita (Nagano)
Final: Ina Kita (Nagano) vs. Soka (Tokyo)
Commentary: Yoshiro Yano (HEnDA Chief Judge; Chuo Univ.)
準々決勝: 灘高校(兵庫) vs. 長野県 伊那北高校
決勝:長野県 伊那北高校 vs. 創価高校(東京)
※解説:矢野 善郎(HEnDA審査委員長・中央大学准教授)
Final: Ina Kita (Nagano) vs. Soka (Tokyo)
※解説なし
※解説なし
※解説なし
※解説なし
※解説なし
第3回大会 (2008)
The 3rd All Japan High School English Debate Tournament (Gifu, 20-21 Dec 2008)
第3回全国高校生英語ディベート大会 (岐阜県,2008年12月20-21日)
会場:岐阜聖徳学園大学 岐阜キャンパス(岐阜市)
論題:Resolved: That Japan should lower the age of adulthood to 18.
Quarter-Final: Shibuya (Tokyo) vs. Keio Shonan Fujisawa (Kanagawa)
Final: Eiko Gakuen (Kanagawa) vs. Ina Gakuen (Saitama)
Commentary: Yoshiro Yano (HEnDA Chief Judge/Chuo Univ.)
準々決勝:渋谷教育学園渋谷高校(東京) vs. 慶應義塾湘南藤沢高等部(神奈川)
決勝:栄光学園高校(神奈川) vs. 伊奈学園総合高校(埼玉)
※解説なし
※講評なし
Semi-Final: Ina Gakuen (Saitama) vs. Keio Shonan Fujisawa (Kanagawa)
※講評なし
※講評なし
※解説なし
第2回大会 (2007)
The 2nd All Japan High School English Debate Tournament (Aichi, 15-16 Dec 2007)
第2回全国高校生英語ディベート大会 (愛知県,2007年12月15-16日)
会場:名古屋学院大学 白鳥学舎(名古屋市)
論題:Resolved: That all elementary and secondary schools in Japan should have classes on Saturdays.
※解説なし
第1回大会 (2006)
The All Japan High School English Debate Tournament (Gifu, 16-17 Dec 2006)
全国高校生英語ディベート大会 (岐阜県,2006年12月16-17日)
会場:岐阜聖徳学園大学 岐阜キャンパス(岐阜市)
論題:Resolved: That Japan should make English its second official language.
※解説なし
ディベート実践アドバイス
ディベート実践的アドバイス
2019年版 Word 形式でダウンロードできます → Debate-tips-2019.docx
全国のディベーターのみなさまへ
めざせGreat Debater
全国大会にむけての実践的アドバイス
(2019年夏版 8月20日)
HEnDA審査委員長 矢野 善郎
HEnDA審査委員長として,光栄にも様々な英語ディベート大会で審査をさせていただいております。生徒さん(そして指導者の皆様に)ディベートについてアドバイスすべきと感じていることを思いつくままに,今年も書いてみました。(2017年,2018年と,全国大会の出場者には似たような文書を配布しました。それに付け足す形です。例は,過去の年度の論題のもののままだったりしますが,お許しください)。
とりわけ大会に出場しようとするディベーターの皆様,どうかご参考にしてください。
日本各地の英語ディベートが,高校生のみなさんに素晴らしい体験をもたらすことを祈りつつ。
基本の基本①:めざせGreat Debater! 基本の基本②:ディベートの本質=Clash! 自己紹介 Self introduction 準備時間:資料の受け渡し Handling of evidence 試合中の相談 Conversations during the round 試合前後・間の相談・談話 Conversations after/before the round 立論 Constructive speeches エビデンス 質疑応答 Q&As アタック Attack ディフェンス Defense サマリー Summary
HEnDAのモットーは,”Make Friends”ですが,それを説明するために私が作った似而非ことわざがあります:
Great Debaters Make Friends. Cheap Debaters Make Enemies.
一言で言えば「この人ともう一度ディベートしたい」,そう対戦相手に思わせることができるディベーターがGreat Debater。二度と話したくないと相手に思わせるのが,つまらないディベーター。
実社会にもごく希にではありますが「あの人とは意見が違うし,たいがい賛成はできないけれど,あの人と討論すると本当に意味がある」そう思わせることのできる,Great Debaterが時たまいます。高校生の皆様には是非,そうしたGreat Debaterに育っていただき,世の中の風通しを良くし,素晴らしい未来世界を築いて欲しいのです(少し大きく出すぎでしょうか?)。
ディベート大会は,英語能力をみがき,ディベートの技を磨く機会だけでなく,しかも人間的にもGreatに成長する機会を提供してくれるのです。
このアドバイス集もそうした観点から書かれています。単に勝つためのやり方を書いたものではありません。ディベート大会で勝ちを目指すことは悪いことではありません。しかしどうせ大会にでて頑張るなら,単にたまたま勝つことではなく,Great Debaterを目指してほしいのです。
実際の世の中でも,どれだけ頭が良くても,どれだけ弁が立っても,あいつと話すのは二度としたくないと思われるような人はいます。そうした人は,口は達者だけれども,どんどん仲間が減り,敵だけが増えていき,実際の世の中ではたいしてなにも成し遂げられません。HEnDAのディベート大会ではそうした人は育てたくありません。
良いディベートかどうかを決めるのは,意見の衝突Clashであり,Clashが質的に深く,しかも適切な数の箇所で(量的に)行われたか,これに尽きると考えております。だから片方だけがどれだけ上手でも良いディベートには決してなりません。良いディベートは,Great Debaters同士が真剣にfriendlyにぶつかり合ったときにはじめて生まれます。
“Clash”という言葉は,日本語ではなじみがないかもしれません(紛らわしい言葉に,crashやcrushがありますが,それらは特にディベートで重要と言うわけではありません)。Clashには他にも色々と意味があり得ますが,ディベートで重要だというのは,意見と意見の衝突,ぶつかり合うという意味の場合です。これは悪い意味とは限らず,状況によっては,むしろ良い意味の言葉です。意見の衝突なんてないほうが良いと思っている人は,特に二つの状況を思い浮かべてください。一つは不正義が行われていて,特権者がのさばっていたり,少数者等が弾圧されたりしている状況――Clashがなければそうした不正義は永遠と続きます。二つ目は,科学――Clashがなければ,今でも人間は暗黒時代です。Clashのない世の中は,進歩の存在しない世の中です。)
ディベーターの皆さんにできるようになって欲しいことは,①意味のある論点について,②必要な限りの数のClashを,③生産的な(friendlyな)やり方で行えるようになることです。単にむやみやたらと衝突すればいいわけでなく,重要な衝突点を作り出す。そして衝突は意見だけにとどめ,決して人間関係上の衝突にならないようにすること。それがGreat Debaterです。
一見すると意見の衝突があるように見えても,単にお互いが自分の意見を繰り返しているだけなら,それは衝突ではありません。相手の意見をちゃんと理解しないで反論しようとすると,たいがいは非生産的な衝突となります。いずれにせよ,多く喋っているということと,良いディベートであることの間にはあまり関係ありません。
実はこうしたことを考えておくことは,HEnDA形式のディベートでは特に重要です。HEnDA形式は,意味のあるClashができるだけ多く起きるよう,既存の形式を見直し,一からデザインされています。
こうした設計思想を知っていると,自分の役割で何をすれば良いのかが見えやすくなるかもしれません。以下は,こうした二つの基本論をふまえ,個々のアドバイスに入りましょう。
本音を言うと“I am so nervous but I’ll do my best.” だけでは寂しいです。自己紹介は,そもそもGreat Debatersになるための第一歩として位置づけるべきで,もっと自分をだして良い場所です。多少は,長くても構わないです。笑いを取るも良し,まじめにいくもよし,Make-Friendsの機会にしてください。 “Thank you chairperson, honorable judges, dear audience”だけでなく,やはり “Thank you opponents”は最低欲しいですし,しかも学校名・都道府県名などをあげて相手にエールを送ると場がなごみます。
2017年の全国大会ではラップで自己紹介をして,みごとMake-Friends賞を獲得したチームもありました。各地の大会でも,相手の学校にふれながら気の利いた自己紹介をするディベーターが増えてきたのを見ました。全国大会に限らず,最近は,自己紹介の最中に互いを褒い合戦するなど,試合本体とは違う楽しい応酬がみられます。本当に嬉しいです。
HEnDAの全国大会では2018年から,Make-Friends賞も拡張されました。自己紹介で賞が決まるわけではないですが,自己紹介や他校との交流も間違いなく大会の一部です。2018年の全国大会では,たいへん個性的な学校・自己紹介が飛び出し,素晴らしい雰囲気となっていました。
特に決勝ラウンドや予選最終試合とかは,最後のラウンドになるかもしれないから,チームや先生へのThanks wordsがぜひ欲しいです。いっしょに苦楽をともにした仲間や,“Please allow us to use this occasion to convey our thanks to our splendid teacher X sensei.” とか,とくに先生が聴いているなら感謝の言葉を言う機会に使うのもまたよし(こっそり用意しておいて,先生が涙で試合を観られないように追い込むなんて,これもあり。2018年の全国大会などでは,実際にもらい泣きしている観客,目頭が熱くなっているジャッジ(私のこと)など頻出でした)
ただし,あまりに気合いが入っていて,試合時間を長くしているという批判もでてきました。あまり堅苦しく言うわけではないですが,普通の試合ならやはり長くても,一人1分,チームで合計3分程度がマックスでしょうか。ただし決勝戦や予選最終戦などは,特別なので,もっと長めでも許されるでしょう。是非,ディベート試合前の単なる形式的な儀式としてとらえず,試合がfriendlyに円滑に進むために必要な儀礼(社会学で言う相互行為儀礼interaction ritual)として盛り上げてください。
ルールを誤解のないように確認しておきますと,資料は,どの準備時間でも借りられます! また相手の資料を借りることは悪いことでも何でもなく,より良いディベートの本質的な一部です。
ルールでは,とりわけ立論の直後の1分間の準備時間でもエビデンスや(翻訳エビデンスについては,その日本語原典)を借りるために使ってもよいです。是非活用してください。
ただ最近,相手チームが証拠資料をお願いされてから,渡すのが遅いと感じるディベーターが多すぎます。証拠資料を請求されて,すぐにわたさないのは目指すべきディベーターではありません。私が学生の頃に対戦したある関西のディベーターは,強いだけでなく誰からも尊敬されていました。フェアプレーの塊のような方で,資料は全て相手用に事前にコピーしてあり,自分のスピーチ直後に相手に渡せるように,相手にわたすコピーの順番を揃えながらスピーチしていました!
基本的に相手に原本を含め渡せるようにしておくのが最低のルール。速やかに貸せる資料を大会前にあらかじめ用意しておくのがMake-Friendsできる真に強いディベーターGreat Debatersです。資料をだししぶるのなら,二度とあいつらとはディベートしたくないという敵を作り出すことになるcheap debatersにしかなれません。相手が資料を借りに来たらいやな顔をするのは明らかにディベートの精神が分かっていません。良いディベートは,お互いの論点や証拠を細部までさらけ出さなければ実現しません。
相手にエビデンスを貸す際に協力的でなかったり,とりわけ明らかにわざとらしくもたついていたり,キビキビと動いていなかったりする卑怯なディベーターは,Best Debaterや部門別Speaker賞の資格はありません。卑怯なチームやディベーターは,Communication点を下げ,個人賞の対象として選ばれないように審査委員では意見統一していくことになります
ときどきがっかりするのが,スピーチ中にほかのディベーターが声を出して相談していることです。スピーチ中は基本的には筆談でいくべきで,スピーチをしている自分のチームのメンバーに,ジャッジに聞こえない小さな声でアドバイスすること以外はルールで禁止されています。
スピーチをしていない人同士の会話は厳禁です。自分のチームのスピーチ中であっても禁止です。ましてや相手チームのスピーチ中の筆談以外の相談は,ディベートを妨害する反則であるだけでなく,ディベートを通して学んで欲しい,議論を真摯に聞くという精神に違反します。絶対にやめてください。
大会のあいまには,とりわけ予選試合前後に案外時間があります。単にチームメートと試合の準備をするだけでなく,是非,ジャッジや,同じディベートで苦楽をともにしている他校の友達たちとの会話を楽しんでください。それも大会の目的の一つです
ただし,予選後,決勝ラウンド以降は,スケジュールがタイトです。勝ったチームは,次の試合会場にまず移動してから相談してください。大会が遅れると帰宅が困難になる人が続出します。
論担当者向けのアドバイスです。
読み上げる際にも是非,準備の際に工夫をして下さい(これは立論担当者だけでないかも)。色つきマーカーで,各文でイントネーションを高くする言葉を塗っておくと良いです。例えば,以下の引用なら
Dutch Journalist and writer Leo Enthoven writes in 2018 that “death tourism” is occurring [quote]
Three Swiss organisations assist deathly ill foreigners to die. During the period 1998-2017 one of these, Dignitas, provided lethal doses of barbiturates to 2550 individuals to enable them to commit suicide. Of these 173 were Swiss nationals. The remaining 2377 persons (93%) had travelled to Zurich from 49 different countries. [unquote]
強調ポイントとなる数字などは高めの声(イントネーション)で,場合によっては繰り返して読んだりすることもありです。蛍光マーカーが入っていない立論原稿を読むと,平板な早読みであることが多く,たいへん聴き取りにくいです。まわりの先生などに助言をもらって,マーカーをつけておきましょう(あとアクセントのある音節に,赤ペンなどでマークするのも組み合わせるとなお良い)
スピードは一分150語を超えるのは反則です。立論の最大語数(600語)に注意しましょう。しかも立論の冒頭はジャッジの耳が,あなたの英語に慣れていないから,かならずスローにスタートしてください。
特に数字を読むときにはゆっくりと。重要な数字は繰り返してもいい。たとえば税収が27,245,570,000円という時には,適当なところで丸めも必要(丸めとは適当な桁で四捨五入すること。around 27.2 trillion yenで十分ですね。もちろん桁数が少ないときは,一桁まで正確に読み上げることでレトリック的に正確性をアピールする必要がありますので,その際には丸めない)
質問にどれだけ上手に答えられるかは,実際には試合を左右するくらい重要です。 事前に来そうな質問を予想しておき,Constructive Speakerは単に原稿を読む人ではない,ということを見せつけてください。
あと立論の内容については,エビデンスのところをよく見てください。よい立論は,短いエビデンスをたくさんつなげ,早く読むことでは決してありません。むしろ本当の説得力は,信頼のおけるエビデンスを専門家の肩書きauthorityも含め,ちゃんと引用することで生まれます。
全国大会ではConstructive speechも含め,部門別スピーカー賞が創設されました。過去には,他のスピーチ担当者が,Best Debaterをとっていたのに対し,最初の立論スピーチはどうしても縁の下の力持ちとして個人賞は取りにくかったですが,これからは違います。各部門,とりわけ立論担当者は,是非初代の個人賞Most Excellent Speakerをめざしてください(賞は,メインジャッジの推薦が最も多かったSpeakerに与えられます)。
HEnDAのディベートでは,証拠(evidence)が重要視されます。証拠を用いて上手にディベートができることは,現代社会で活躍する際に必須の技術です。大学等で学ぶあらゆる科学は,証拠なしには成立しません。つまり物理・化学・生物学・医学などの自然科学だけでなく,社会科学,歴史学などの人文学,たとえば文学研究でも,それぞれの分野にふさわしい証拠が必要になります。証拠と取り組む練習は,大学にて学ぶ科学・学問の基礎となります。また私たちの社会を支える現代の裁判制度や行政などが,証拠を用いないで運営されたら大変なことになります。もちろん証拠に基づいて経営しない会社は,信頼できませんし,生き残りにくいです。
しかしもう一つ重要なことがあります。私たちは,証拠に基づいて議論するだけでなく,証拠を誠実に取り扱うことも学ばなくてはなりません。証拠っぽいものがあれば,全てごまかせるという人間が残念ながら最近増えています。証拠をイジって,○○細胞という夢の発見をしたと主張する科学者。Fakeや嘘を振りかざし,写真をいじってまで自分は人気があると主張する政治屋。空気を汚さないと嘘のデータで自動車を売ろうとするメーカーや,会計についての数値をいじって周囲を欺く経営者。日本でも無実の人間を証拠を改ざんして有罪にしようとした検察官がいました。世界の各地で,証拠をでっちあげて国家によるおぞましい犯罪を隠蔽する独裁者がいまだにいる。
証拠を改ざんすることは,民主主義・法の支配・科学を基本とする現代社会では許されません。ディベート大会でも全く一緒です。自分の議論を有利にするために,エビデンスを捏造・歪曲するという行為は社会でもディベートでも犯罪です。ディベートでは,事実や統計や専門家の意見を自分に有利なようにいじること,つまり
証拠のねつ造や歪曲は,最も卑劣な反則の一つです
HEnDAのルールでは,ジャッジや各校が,相手校の使用するエビデンスについて厳しくチェックできます。
仮に意図的ではなかったとしても,自分たちのチームに有利になるように資料の原文を変えて,引用した場合には,反則となります。当然,違反者には,反則負けにとどまらない,厳しい罰則(来年度も出場停止など)があり得ます。特に決勝ラウンド以降はビデオで撮影します。試合後・場合によっては大会後であっても,反則負け,場合によっては優勝なども剥奪されるというような悲しく・厳しいことが起きてしまうかもしれません。
ですからルール3.1.2.1,3.1.3 エビデンス をよく読み,全てのエビデンスを先生とチェックし,一点の曇りもない状態にしてください。
議論の前提となる前提条件(コンテクスト)を隠すのも歪曲の一種です。
自分の議論に有利なように数字が変えられていたり,年号を隠したり,たとえば条件などを示した修飾語をはずすことで統計の意味がかわったりした場合は,たとえ単純ミスであったとしても,証拠の捏造・歪曲とみなします。特に日本語の文章を英訳して使っている場合にこうした反則は多々生じます。もう一度,数字の引用,専門家の発言,図表などの数字のチェックと,原文との照らし合わせをしてください。
照らし合わせできない,原文が見つからないなら,証拠を使うのを諦めて,単に証拠ではない意見として発表してください。それは議論としては弱いですが,まだ正直でましです。
各地で気になった例などを,幾つか見てみましょう
反則となりうる例1 (根拠の隠蔽)
According to XX, “10 types of cancers will be cured by 2020”
チェックすると,証拠の原文からの引用が,かなりいい加減でした。2010年頃に,なんかのシンクタンクが未来予測をしただけ,しかも根拠もなにもあげられていないのを隠している。反則にならないためには,単なる未来予測であることは隠してはいけません。
反則となりうる例2 (因果関係)
According to XXX “suicides increased in the Netherlands after the introduction of euthanasia in 2002”
実際には,この引用の原文は,単にある年に自殺が増えたということを示しているだけで,それが安楽死による物だとは全く書いていません(自殺の増減は,単身者の増加・失業の増加など様々な理由で起きるはずなのが隠されている)。反則にならないためには,せめて正直に
According to XXX quote “suicides increased in the Netherlands in 2003” unquote. From this, we can say that euthanasia increases suicides.
と,引用と自分たちの結論を分ける(ただし実際には,弱い議論です。相手は,もちろん自殺が安楽死によって増えたと証明していないことをアタックすべき)
反則となりうる例3 重要情報・年号の隠蔽
According to XX “In the Netherlands, an old woman was forced to take euthanasia. She had lethal dose injected, even though she was screaming she didn’t want to die.”
安楽死法で怖いことになると議論したいのなら,事件が起きた年号は隠してはいけません。オランダで安楽死の法制が実施されたのが,2002年。その後改正も行われています。どの時点でこの事件が起きたのか,あるいはこの事件がどのように処罰されたのか。こうした条件を隠して重大事件としての側面だけを伝えるのは反則となります。
反則となる例4 (素人計算)
数値を自分たちで計算をした場合,どこまでが自分の計算でどこが引用かを必ず区別してスピーチしてください。もし以下のような発言をしたとしましょう。
According to the MOHW in 2017, total medical cost of terminal patients will be 88 trillion yen.
この88兆円という計算をしたのが実際に,厚生労働省であるなら反則ではないです(ただしその場合も,こんなに短く引用するのでなく,どのようなコストが含まれているのかを全て明示すべきでしょう)。しかし,もし実際にはこの出典が実際には「患者の一人頭の社会保障からの支出」としか言っておらず,そこから自分たちが単純かけ算をして総費用を計算し,原文の資料の条件やその計算をしたのが自分たちだというのを隠して引用したとしたら,反則です。(統計計算は難しく,その計算を専門家がやったのか,高校生がやったのかで信頼度が全然違います)
許される例(計算をしたのが自分たちだと明示している)
According to the XXXX in 20XX, quote “the average amount of public social cost to support terminal patients is xx,xxx”, unquote. According to YYY in 20YY, quote the number of terminal cancer patients is yyyy thousand, unquote. So, we simply multiplied the number and the number is X trillion yen.
反則になることを避けるための二つの大原則
①どこからどこまでが引用かを明示するために,実際に引用した箇所はquoteで開始し,引用終了後unquoteという言葉でおえるべきです。
②引用は単に結論だけでなく,年号や具体的な状況なども含め,正確に長めに引用する。
質疑応答で,近年,不思議な質問の終わり方がはやっています(やらないチームも増えていますが,2017年からずっと指摘しているのですが,残念ながらまだ見受けられます)。あまり証拠がないと分かっているようなポイントで例えば,質問者がこういうのです
Q: “Do you have evidence?”
A: “Yes. We didn’t read it but we do have evidence”
Q: “OK Please, show me (the evidence) later.”
相手の議論で証拠がなかったときに,わざわざ「証拠を後で見せて」というやりとりは端的にいって質問者が議論的にも時間的にも損をします。議論的に損というのは,質問することであとで相手に証拠提出のチャンスをあげているようなものです。またジャッジもフラストレーションがたまります(笑)… 試合に出ない資料はジャッジには関係ないので,ディベーターだけやりとりしているって仲間はずれです!
時間的に損というのは,証拠は質疑で言わなくても借りられるからです(立論後の質疑なら,直後の一分間で借りて,それをみながら質疑をやっても良いくらいです)。それなら次の質問に行くべきでしょう。また,わざわざ質問時間を使って相手が引用していない証拠を調べるなら,実際に引用したものを調べた方がとくです。
相手が証拠なしに発言したことをとがめるのはもちろん良い質問です。質問形式なら,例えば次のようなやり方ではどうでしょう
Q: “On AD 1 b) Effect you said that the plan increases xxx. Did you show any evidence on this point?”
A: “No. But we do have evidence.”
Q: “OK. So you admit you haven’t shown any evidence in the AD x effect. Next question. On AD 1 c) Importance…”
つまりエビデンスがあるなしを聞くのではなく,エビデンスが読まれていないことをジャッジに印象づけるべきなのです。
また質疑応答の醍醐味は,なんといってもfollow up questionです。単に確認するだけでなく,相手の回答の中身にあわせて,さらに深いところまで質問していく。そうした質疑をみたいです。
Q: Your AD effect argues that A.I. will be introduced to compensate for labor shortage caused by short working hours. [Is this] Right? (議論の確認)
A: Yes
Q: Where did you show that, without the plan, A.I. won’t be introduced.(プランなしでは何も起きないかどうか,固有性があるかどうかの質問)
A: In A) present situation evidence.
Q: But in A) evidence you only said that just 5% of the companies use A.I. now. But where does this prove that A.I. won’t be used in the future without the plan? (相手のあげるエビデンスが述べていることは欠陥があることの確認)
A: … We clearly showed that it is not used now.
Q: Thank you. Next question…
こうしたやりとりをした後,引きつづきAttackで相手のpresent situationを例えば「プランなしで現状が続いても結局AI化が進む」ということを事実で示すと,プランがなかったとしてもADが得られるのではという(ユニークネスの)攻撃がたいへん強力に行えることになります。
アタックの人へのアドバイスは,一言で言うならOne-line attacksはやらないでほしいということです。ときどき見かけるのは,事前に書いた一行だけのアタックをそれぞれ別のアタックとして数えて,I have 12 attacksなどと読み上げるというアタックです。これは正直申しますと,数だけ多いけど,ほとんど有効でないアタックばかりなのでやめたほうがよいです。重要なのは,数よりも実際にひびくアタックです。One-line attacksというのは例えばこういうのです
Number 6: No effect. The effect of morphine is not clear, so no effect
Number 7: No importance. How many people will be saved, it is not clear.
アタックとしては,これではジャッジに何が相手の議論の問題なのか理由が伝わりません。やはり最低でも次のような三つの要素があると強いアタックになります
Number 6: On b) effect. They said morphine will take away pain.
[第1要素,反論点を具体的に指示:どこのどのような議論に反論するのか]
But No proof. This is just speculation without evidence. Actually according to xxx in 2017, morphine rather causes different sufferings: quote … unquote
[第2要素,相手の議論の欠陥:具体的にどんな欠陥があるのか]
Unless there is clear evidence that morphine over all takes away unbearable sufferings there is no DA.
[第3要素,議論の証明責任・小括。相手は具体的に何を証明すべきなのか
そしてそれが証明されないとジャッジはどう判定すべきなのか。]
アタックの重要な仕事は,相手が証明責任Burden of Proofをみたしていないことを指摘することです。つまり,「ADならこうしたことを証明していないといけないが,こうしたことまでしか相手は言っていない」という形になるべきなのです。そして望ましくは,このアタックの帰結としてどのようにAD・DAを評価すべきかについても述べるべきでしょう。
アタックは3分なので,ルール上最大450ワードになります。一つのアタックを丁寧にするなら60ワードは最低使うはずです。アタックは合計6,7になりますが,無理矢理10個以上に増やして,ジャッジにほとんど届いていないよりはるかにましです。
近年は,原則として論題解釈がしっかりと定義されており,あまりプランの余地がないので,起きておりませんが,ときどきアタックスピーカーが,plan attackと述べることがあります。これはルール上反則であるだけでなく,実際には反論としても意味ないからやめてください。アタックが攻撃すべきなのはプランではなく,否定側ならAD,肯定側ならDAです。
もちろん肯定チームが,論題定義に違反するようなプランを出している場合は,話が別ですアタックでも良いですし,否定立論などで指摘するのも良いでしょう。
ディフェンスの仕事は,自分のチームのADやDAを残すことです。
勘違いしてほしくないのは,アタックに反論するのはその仕事の半分くらいに過ぎないということです。
もちろんアタックに一つ一つ反論することは大変重要で,一つでも反論を漏らすと,たいがいADやDAを残すことはできません。が,ディフェンスが終わった時には,単に反論して力尽きるだけでなく,ジャッジが結果として,ああこのADやDAは確かにあると納得させるのが本当のディフェンスの仕事です。
具体的には,ADやDAは,
の三点,全てが証明されていなければなりません。アタックは,そのどれか一つでも確実に切ることができるならば,議論全体をだめにできますが,ディフェンスは大変でその三つとも守らないといけないのです。
ですからディフェンスの間に,相手が攻撃しなかった部分も含め,三つとも守られている部分があるということをアピールしてはじめてディフェンスは完結します。いうまでもなく相手がアタックしなかったADやDAも,そのprobabilityやimportanceを強くアピールするのもお忘れなく。
例えば,自分たちのADで,労働時間を減らすと,労働者の健康が良くなると議論したとしましょう。アタックは二つあったとしましょう。その場合,アタックに反論するだけでなく,以下のようにディフェンスしてみてはどうでしょう
AD1 Workers health issues
On their 1st attack, she said the current reform makes things OK. But their evidence is just an author’s statement that shows no reliable predictions.
(相手の反論の核となる証拠の信憑性を攻撃)
However, as we have shown in the XXX evidence, actually, the present regime reform allows employees to overwork more than 720 hours a year. So, current situation still will kill workers.
(できるだけ立論の証拠などを利用して簡潔に反論)
There is no other attack on a), They granted that currently, more than 600 workers die from overwork related health issues.
(反論以外でpresent situationを強化)
On their 2nd attack, they said overwork does not directly link to workers’ health.
However, this evidence doesn’t show any concrete data, so it’s totally unreliable.
(単に相手の証拠と違う証拠を出すのでなく,相手の反論の核となる証拠の信憑性は攻撃したい)
They granted that our E.U. evidence that, in the countries that have less than 48 hours overwork, workers health improved in average lessening one third of the damage.
So clearly, the effect of our plan to reduce workers’ casualties is clear.
(できるだけ立論の証拠などを利用して,効果を説得的に強調)
On c) importance, there is no attack. As we said, please remember that saving workers is the most important issue in this debate.
(重要性を再度強調。相手が攻撃しなければ,むしろ強調!)
Their DAs talk just about some economic issues.
Economic growth means nothing if it is built on the sacrifice of overworked workers.
(相手の重要性と比較する,攻めのディフェンス!)
以前と比べるとかなり改善されてきましたが,まだ不思議な考えが一部で広まっているようです。サマリーは全体の比較comparisonだけをするところで,細かい議論は一切ふれるべきでない。さらにディベーターのなかに,アタックについては,他のチームメートが既に述べたことなので,サマリーでは繰り返す必要はないと思っていた,と試合後に感想を述べた方もいました。
サマリーについて,それほどの間違った認識はありません!
サマリーは,大きく分けて二つ,ミクロ(micro微視――個別の争点AD/DA内部の細かい衝突に決着をつける)と,マクロ(macro巨視――争点AD/DA同士の比較)の重要な仕事があります。実際には,ミクロの仕事は,肯定・否定の争点について二つやらないといけないので,3つの仕事があるというべきでしょう。その3つ全部がサマリーの仕事です。
試合のフォーマットとしては,立論のADやDAに,まずアタックがあって,ディフェンスがあります。ディフェンスは,必ずしもアタックを十分に返答しているわけではありません。が,ジャッジはもしかしたら十分だと考えてしまうかもしれません。そこで重要なのは返答が十分でない場合,特に相手のDA(やAD)の根幹に関わるアタックについてサマリーで強調して,相手のADやDAの証明の足らないところに最後のとどめをさすことです。
他方,自分のAD(やDA)についてのミクロな確定は,直前に自チームのディフェンスがあるわけですから,優先順位は落ちます。が,ディフェンスが相手への反論に終始しすぎた際などは,どこがAD(やDA)として残っているのかは,確定させる形でジャッジに伝える必要があります(良いディフェンスのあとなら,この仕事はかなり少なくてもかまいません)。
こうしてミクロの争点の確定をした後で,ADとDAのどちらが多いかというマクロの比較をすることになります。いきなり “In this debate, there are two clash points” 等と言って,マクロの比較に入り,アタック前の立論の段階のADやDAで大げさな比較をしているサマリーは,相手チームだけでなく,自チームのアタックやディフェンスも無視しているので,まったくサマリーとしては評価できません。
まとめると,サマリーでは,①相手チームのDA(やAD)のミクロの欠陥の指摘から始めるのがおすすめです。確認ですが,全てのアタックをなぞる必要はありません。相手の議論のa) present situation (現状と比較してuniqueな問題か),b) effect(プランによって問題が起きるか),c) importance(問題は重要か。その価値はなにか)のどれか一つでも決定的に欠けているなら,議論は成立しません。自チームのアタックと準備時間に相談し,一番効果的なアタックで相手が反論できなかったところを幾つか選ぶと良いでしょう。
次に,②自チームのAD(やDA)が,3要素全てが揃っているというミクロの確認を行います。必ずしも,両方のAD(やDA)を守る必要はありません。どちらかでも三要素全てが残っていることをアピールすることが重要です。
そして最後に③ADとDAの比較をすることになるのです。ここでは,大げさなレトリックでなく,相手のDAやアタックを踏まえてもなおもADが上回ると言う誠実なスピーチが,本当は期待したいところです。
なおサマリーでは,当然のことながら新しいアタックもディフェンスも出来ません。
相手のDA(やAD)についてミクロの確定をする際には,①自チームのアタックで述べたポイントで,相手チームが返答しなかったポイントを指摘すること,②相手がディフェンスで反論しているが不十分な反論だった場合がありえます。特に②の場合は,場合によっては証拠を付け足すことも可能です。たとえば安楽死ディベートだとして,
A-Con.: 末期癌は耐えがたい身体的苦痛をもたらす(証拠あり)
N-Att.: 現状ではほとんどの末期癌の痛みは除去できる(証拠あり)
A-Def.: 末期癌の痛みは,骨癌などでは除去し得ない(証拠あり)
こうした状況なら,証拠付きでサマリーで再反論するのは,ルールで許されています。例えば,否定サマリーは,否定アタックの議論に付け足す形で,「最近は骨癌の痛みを取る研究が進んでおり,何年後には実用化されうる」などと証拠付で反論することは許されています。つまり特定の争点について,証拠と証拠を比較するような証拠などは,サマリーでも出せます。しかし,原則として,以前に出せる機会があったのに新しい証拠を出すのは,許されません。
サマリーでは,相手のアタックに対し,自分のチームのディフェンスが反論できなかった場合は,基本的にはそれを受け入れて,まとめることしかできません。仮に相手のアタックに自分のディフェンスが,例えばAD2については何も返答しなかったとしましょう。その場合サマリーは,相手のアタックへの直接の反論は許されません。唯一出来ることは,アタックを受け入れたとしても,ここのAD2は立論で述べたように,この点だけはまだ残っているという間接的な立論の参照だけです(しかし相手のアタックがよほどOne-line Attacksばかりの時以外は,たいがいは上手くいかないでしょう)。
以上,ディベートでステップ・アップをする際のアドバイスをまとめてみました。
参考になれば幸いです。
もっとも,一番重要なのは,細かいテクニックよりも,相手やジャッジを尊重し,参加者全員で協力してよいディベートを作り上げようとするMake Friends精神です!
勝ち負けはともかく,この人たちと,またディベートしてみたいと思われるディベーターをめざして下さい。
Make Friends!
HEnDA審査委員長 矢野善郎
過去版
2018年版 → Debate tips 2018.docx
審査基準について
全国高校生英語ディベート大会 ジャッジ基準
全国高校英語ディベート連盟(HEnDA)
審査委員会
「全国高校英語ディベート大会」のジャッジは,単に公正な判定者としてだけではなく,生徒の今後の成長をも配慮する教育者としてふるまうことが期待される。とりわけジャッジにとって重要なのは,以下の三つの心構えである。
公平性fairness : 両チームの議論をできるだけ公平に判定するよう努めること。当然ながら国籍や性別,容姿,学校名,所在地などに絡む情実は判定には一切持ち込んではならない。その試合でどれだけ活躍したかが重要であり,他の試合でどうだったか,などは一切考慮しないこと。
客観性objectivity : 勘やフィーリングでなく,理性的で根拠のある判定をするように努めること。勝ち負けの理由をはっきりと言葉にできるまで考え,判定用紙に記入しないこと。
説明責任accountability : 判定理由を分かりやすく説明できるようにするとともに,できるだけ生徒の向上心を引き出し,アドバイスを与え,元気づけてあげることに努める。
ジャッジは,試合中に論じられた議論の内容を客観的に比較することで,論題が肯定されたか否定されたかを合理的に判断して,試合の勝敗を判定する。簡単に言えば,論題どおりに政策を採用した場合に得られるAdvantage(利益,ADと省略)が,そのDisadvantage(弊害,DAと省略)より大きいとディベーターの議論によって確信させられたのなら,肯定側の勝ちとなる。逆にDAがADを上回ると確信させられたのなら否定側の勝ちとなる。引き分けは,許されない(万が一,どう考えてもADとDAとの強さに有意な差が見いだせない例外的な場合は,論題が真であるとは認められないと推定し,否定側の勝ちとすること)。ジャッジは,それぞれが他人と相談せず独自の判断で投票する。
試合中は必ずメモ(「フロー」)を取り,それぞれの論点ADやDAの証明や反論がどう行われたかを注意深く聞く。試合後には,判定チャート“DECISION MAKING CHART”を埋める形で,次の5つのステップで判断する。
立論で述べられた論点(ADとDA)のうち,ディフェンスや総括まで述べられたものをリストアップし,そのラベル(表題)をまず書き込む。この際,ルールに沿わない論点は無視する。ルールでは,ADとDAは最大で各二つずつまでとなっているが,三つ目や四つ目が述べられているなら,余計なものは無視する。また新しい論点new argumentsを立論以降に「後出し」することは禁止されている。後出しとみなされる論点や反論も無視する。
まずはディベーターの論じたADやDAがどれだけ事実に基づき,蓋然性(もっともらしさ)があるか,一つずつの論点について判断する。ADやDAとプラン(論題のいう政策)との間に因果関係があることが,証拠evidenceに基づいて証明されていないなら,その論点はもっともらしいとは見なさないこと。また相手側のアタックにより反論され,ディフェンスで再構築できなかった場合にも,もっともらしさを減らすこと。
次にディベーターの論じた論点ADやDAがどれだけ重要性significanceを持つのか,一つずつの論点の価値を判定する。例えば「このDAで議論されている問題は,どのくらいの量・範囲で起きる,どのような質の問題なのか」を判定する。ディベーター自身が,論点の価値について理由もつけず,説明もしていないなら,その論点は重要だとは見なさない。価値の「良し悪し」については,議論次第で試合中に逆転することもあり得る(例えば,肯定側が「格差は悪い」と論じたのに対し,否定側がこの評価を「転倒flip」して,「格差はむしろ歓迎すべき」と論じることもできる。その両者の言い分の理由付けの強さを参照し,どちらの言い分をとるかを決める。否定側の評価をとるなら,“AD”はむしろDAとして転倒される)。
試合最後まで残った各ADやDAのもっともらしさ②と価値③とを掛け合わせて,議論の強さをそれぞれ判定する。くれぐれも注意すべきは,各ADやDAは,もっともらしさと価値との両方が上手く証明されていない限り,強いとみなすべきではないこと。
肯定側のADの強さ(もっともらしさ×価値)と,否定側のDAの強さ(もっともらしさ×価値)とを足しあわせ,比較する。ADの強さを足しあわせたものが,DAの強さを上回ると判定したのなら,肯定側の勝ちとする。そうでないのなら否定側の勝ちとする。
その比較の際には,できるだけジャッジ自らの価値観が入らないように努力する。とりわけ試合終盤のディベーターの議論を注意深く思い出し,もしあるチームが,ADやDAの強さを比較するための価値基準value criteriaにあたるものを論じていたのなら,それを極力重視して勝敗の判定をすること(例えば,肯定側が「どの子供も十分な数学能力を持つべきだ」と論じたのに対し,否定側が「子供の個性をそれより重視すべきだ」と反論したとする。どちらが重要かはジャッジが勝手に決めるのでなく,こうした比較こそ,ディベーター自身が議論すべき重要なことがらである。上手な肯定側の総括ならば,例えば「肯定側プランにより,誰もが最低線の数学能力の国民水準を達成できる」と論じて,そうした最低線を達成することの価値は,否定側のいう「個性」に先立つなど,まっとうな価値基準を理由付きで論じることになろう。もし否定側が対抗する価値基準を論証できないなら,肯定側に有利に判定すべきである)。両チームともこうした価値基準を上手く論じることができないという試合はあり得る。その場合に限り,ジャッジは自らの評価基準に基づき,合理的にADとDAの強さを比較評価することになる。
EXAMPLE: DECISION MAKING CHART
1. List of issues 論点名 |
2. Probabilityもっともらしさ× 3. Value (Impact) 価値= 4. Strength 強さ |
||
Advantage 1 Math & Science |
Hi /Lo No proof: why math scores will improve. |
Large / Small well defended: necessary for economy |
Strong / Weak / None Very little AD |
Advantage 2 Gap Private/Public |
Hi/Lo Well defended. Gap will be narrowed |
Large / Small Need more explanation why gaps are bad |
Strong / Weak / None A Little AD |
Disadvantage 1 Teacher’s Burden |
Hi/Lo Only little increase: AFF attacks were good |
Large / Small No explanation of the significance |
Strong / Weak / None Close to none |
Disadvantage 2 Free Time |
Hi/Lo Not defended |
Large / Small Not explained |
Strong / Weak / None Forgotten by the NEG |
5. Compare the net sum of the issues: 各論点を足しあわせて比較する
○ | AFF won:IfAD 1 + AD 2> DA 1 + DA 2 | ||
NEG won:IfDA 1 + DA 2≧ AD 1 + AD 2 | |||
Your VOTING ISSUE was: |
AD2: I am convinced that the Gap will be solved a little. Since other DAs are not well defended, I will vote AFF for this AD2 |
ジャッジは試合内容には口を出さず,基本的にはディベーターに任せる。ただし,教育的な観点から以下に該当するケースでは必要最低限の試合指揮を行う。
A) スピーチ伝達上の支障(あまりに声が小さいなど)
B) 質疑の進行に極端な問題がある場合(質疑が攻撃的になった,あまりに沈黙が長い等)
C) 静寂性の問題(騒音・お喋り等)
各ジャッジは以下の基準に従い,各チームにコミュニケーション点をつける。これは,そのチームがどれだけ効果的にジャッジ・相手チーム・聴衆とコミュニケーションできたかで採点する。5や1は例外的にすべき(整数のみ)。
5 Excellent | 全てのスピーチが分かりやすい(スピードも適切で,間の取り方なども良い)。かつチームの全員が聴衆とコミュニケーションがとれている(アイコンタクトも適切で,マナーも良い)。 |
4 Good | ほとんどのスピーチが分かりやすい。ほとんどのメンバーが聴衆とおおむね良くコミュニケーションができている。 |
3 Average | 多少の難はあるが,おおむねスピーチも分かりやすく,メンバーの過半が問題ないコミュニケーションができている。 |
2 Below Average | スピーチが分かりにくくなることが目立ち,コミュニケーションがとれていないことも目立つ。 |
1 Poor | スピーチのほとんどが分かりにくく,チームの誰もコミュニケーションをとれていない。 |
注意:勝敗とコミュニケーション点の多寡が一致する必要はない(この採点の目的は,主に予選の引き分けを防ぐためである。勝敗判定とは無関係)。あるチームやメンバーが①ジャッジの試合指揮に従わない,②マナーが悪い,③相手の妨害をしているなどの場合,その違反に応じてコミュニケーション点を減点しても良い。
各ジャッジは,それぞれの試合でベスト・ディベーターを選ぶ。最も試合に貢献したディベーターを一人選ぶ(試合の勝敗の行方に最も貢献したディベーターが選ばれるべき。最も雄弁なディベーターではない)。
立論や反論はディベーターが行うべき。ジャッジがするのは不公平・非教育的。
序盤の立論でなく,総括などでどう効果的に論じられたかを重視して判定する。
ADやDAなどの論点は,最初の立論時間の間に論じるべき。逆に,総括になっての「後出し」は,どれだけ良い反論がでてもルール違反なら無視すべき。
悪い判定の典型例「否定側のアタックが素晴らしいと思った。他のスピーチは甲乙つけがたい。だから否定側の勝ち」。勝ち負けは具体的な論点AD・DAの強弱で判定(部分的にスピーチがどれだけよくても,最終的な結論に説得力がないなら意味は全くない!)。
相手スピーチ途中の質問“point of information”はこの大会では禁止されている。また勝敗の判定は主観的なスピーチ点で行わない,証拠の使用はここでは奨励されているなどの違いもある。
朗読・スピーチ大会とは違い,英語が流暢だろうとアイコンタクトがよかろうと,直接的には勝ち負けに直結させない。英語ディベート大会では,表面的な雄弁より,理性的な答弁を重視し判定する。
試合の勝敗判定には,ジャッジ自身が思いついた論点などは持ち込まない。また英語の巧拙だけで勝ち負けは判定しない。しかし,判定とは別にこうした点は是非アドバイスをお願いしたい。「自分ならこの議論にはこう反論した」「こうすれば英語が聞きやすくなる」等のアドバイスは,生徒にとって貴重なフィードバックである。試合後に,勝ち負けとは別個に,様々なアドバイスをしていただければ幸いである。
「全国高校英語ディベート大会」のジャッジは,単に公正な判定者としてだけではなく,生徒の今後の成長をも配慮する教育者としてふるまうことが期待される。とりわけジャッジにとって重要なのは,以下の三つの心構えである。
公平性fairness 両チームの議論をできるだけ公平に配慮した判定を出すよう努めること。当然ながら国籍や性別,容姿,学校名,所在地などに絡む情実は判定には一切持ち込んではならない。その試合でどれだけ活躍したかが重要であり,他の試合でどうだったか,などは一切考慮しないこと。
客観性objectivity カンやフィーリングでなく,理性的で根拠のある判定をするように努めること。勝ち負けの理由をはっきりと言葉にできるまで考え,判定用紙に記入しないこと。
説明責任accountability 判定理由を分かりやすく説明できるようにするとともに,できるだけ生徒の向上心を引き出し,アドバイスを与え,元気づけてあげることに努める。
ジャッジは,試合中に論じられた議論の内容を客観的に比較することで,論題が肯定されたか否定されたかを合理的に判断して,試合の勝敗を判定する。簡単に言えば,論題どおりに政策を採用した場合に得られるAdvantage(利益,ADと省略)が,そのDisadvantage(弊害,DAと省略)より大きいとディベーターの議論によって確信させられたのなら,肯定側の勝ちとなる。逆にDAがADを上回ると確信させられたのなら否定側の勝ちとなる。引き分けは,許されない(万が一,どう考えてもADとDAとの強さに有意な差が見いだせない例外的な場合は,論題が真であるとは認められないと推定し,否定側の勝ちとすること)。ジャッジは,それぞれが他人と相談せず独自の判断で投票する。
試合中は必ずメモ(「フロー」)を取り,それぞれの論点ADやDAの証明や反論がどう行われたかを注意深く聞く。試合後には,判定チャート”DECISION MAKING CHART”を埋める形で,次の5つのステップで判断する。
立論で述べられた論点(ADとDA)のうち,ディフェンスや総括まで述べられたものをリストアップし,そのラベル(表題)をまず書き込む。この際,ルールに沿わない論点は無視する。ルールでは,ADとDAは最大で各二つずつまでとなっているが,三つ目や四つ目が述べられているなら,余計なものは無視する。また新しい論点new argumentsを立論以降に「後出し」することは禁止されている。後出しとみなされる論点や反論も無視する。
まずはディベーターの論じたADやDAがどれだけ事実に基づき,蓋然性(もっともらしさ)があるか,一つずつの論点について判断する。ADやDAとプラン(論題のいう政策)との間に因果関係があることが,証拠evidenceに基づいて証明されていないなら,その論点はもっともらしいとは見なさないこと。また相手側のアタックにより反論され,ディフェンスで再構築できなかった場合にも,もっともらしさを減らすこと。
次にディベーターの論じた論点ADやDAがどれだけ重要性significanceを持つのか,一つずつの論点の価値を判定する。例えば「このDAで議論されている問題は,どのくらいの量・範囲で起きる,どのような質の問題なのか」を判定する。ディベーター自身が,論点の価値について理由もつけず,説明もしていないなら,その論点は重要だとは見なさない。価値の「良し悪し」については,議論次第で試合中に逆転することもありえる(例えば,肯定側が「格差は悪い」と論じたのに対し,否定側がこの評価を「転倒flip」して,「格差はむしろ歓迎すべき」と論じることもできる。その両者の言い分の理由付けの強さを参照し,どちらの言い分をとるかを決める。否定側の評価をとるなら,”AD”はむしろDAとして転倒される)
試合最後まで残った各ADやDAのもっともらしさ(2.)と価値(3.)とを掛け合わせて,議論の強さをそれぞれ判定する。くれぐれも注意すべきは,各ADやDAは,もっともらしさと価値との両方が上手く証明されていない限り,強いとみなすべきではないこと。
肯定側のADの強さ(もっともらしさ×価値)と,否定側のDAの強さ(もっともらしさ×価値)とを足しあわせ,比較する。ADの強さを足しあわせたものが,DAの強さを上回ると判定したのなら,肯定側の勝ちとする。そうでないのなら否定側の勝ちとする。
その比較の際には,できるだけジャッジ自らの価値観が入らないように努力する。とりわけ試合終盤のディベーターの議論を注意深く思い出し,もしあるチームが,ADやDAの強さを比較するための価値基準value criteriaにあたるものを論じていたのなら,それを極力重視して勝敗の判定をすること(例えば,肯定側が「どの子供も十分な数学能力を持つべきだ」と論じたのに対し,否定側が「子供の個性をそれより重視すべきだ」と反論したとする。どちらが重要かはジャッジが勝手に決めるのでなく,こうした比較こそ,ディベーター自身が議論すべき重要なことがらである。上手な肯定側の総括ならば,例えば「肯定側プランにより,誰もが最低線の数学能力の国民水準を達成できる」と論じて,そうした最低線を達成することの価値は,否定側のいう「個性」に先立つなど,まっとうな価値基準を理由付きで論じることになろう。もし否定側が対抗する価値基準を論証できないなら,肯定側に有利に判定すべきである)。両チームともこうした価値基準を上手く論じることができないという試合はありうる。その場合に限り,ジャッジは自らの評価基準に基づき,合理的にADとDAの強さを比較評価することになる。
EXAMPLE: DECISION MAKING CHART
1. List of issues論点名 2. Probabilityもっともらしさ × 3. Value (Impact)価値 = 4. Strength強さ
Advantage 1 Math & Science |
Hi / Lo No proof: why math scores will improve |
Large / Small well defended: necessary for economy |
.Strong / Weak / None Very little AD |
Advantage 2 Gap Private/Public |
Hi /Lo Well defended. Gap will be narrowed |
Large / Small Need more explanation why gaps are bad |
Strong / Weak / None A Little AD |
Disadvantage 1 Teacher’s Burden |
Hi / Lo
Only little increase: |
Large / Small No explanation of the significance |
Strong/ Weak / None Close to none |
Disadvantage 2 Free Time |
Hi / Lo Not defended |
Large / Small Not explained |
Strong / Weak/ None Forgotten by the NEG |
○ | AFF won: If AD 1 + AD 2> DA 1 + DA 2 |
NEG won: If DA 1 + DA 2≧ AD 1 + AD 2 |
Your VOTING ISSUE was:
投票に最も影響した論点
AD2: I am convinced that the Gap will be solved a little. Since other DAs are not welldefended, I will vote AFF for this AD2 |
ジャッジは試合内容には口を出さず,基本的にはディベーターに任せる。ただし,教育的な観点から以下に該当するケースでは必要最低限の試合指揮を行う。A) スピーチ伝達上の支障(あまりに声が小さいなど) B) 質疑の進行に極端な問題がある場合(質疑が攻撃的になった,あまりに沈黙が長い等)C) 静寂性の問題(騒音・お喋り等)
各ジャッジは以下の基準に従い,各チームにコミュニケーション点をつける。これは,そのチームがどれだけ効果的にジャッジ・相手チーム・聴衆とコミュニケーションできたかで採点する。5や1は例外的にすべき(整数のみ)
5 Excellent | 全てのスピーチが分かりやすい(スピードも適切で,間の取り方なども良い)。かつチームの全員が聴衆とコミュニケーションがとれている(アイコンタクトも適切で,マナーも良い) |
4 Good | ほとんどのスピーチが分かりやすい。ほとんどのメンバーが聴衆とおおむね良くコミュニケーションができている |
3 Average | 多少の難はあるが,おおむねスピーチもわかりやすく,メンバーの過半が問題ないコミュニケーションができている |
2 Below Average | スピーチが分かりにくくなることが目立ち,コミュニケーションが取れていないことも目立つ |
1 Poor | スピーチのほとんどが分かりにくく,チームの誰もコミュニケーションを取れていない |
注意:勝敗とコミュニケーション点の多寡が一致する必要はない(この採点の目的は,主に予選の引き分けを防ぐためである。勝敗判定とは無関係)。あるチームやメンバーが①ジャッジの試合指揮に従わない,②マナーが悪い,③相手の妨害をしているなどの場合,その違反に応じてコミュニケーション点を減点しても良い
各ジャッジは,それぞれの試合でベスト・ディベーターを選ぶ。最も試合に貢献した選手を一人選ぶ(試合の勝敗の行方に最も貢献したディベーターが選ばれるべき。最も雄弁なディベーターではない)
立論や反論はディベーターが行うべき。ジャッジがするのは不公平・非教育的。
序盤の立論でなく,総括などでどう効果的に論じられたかを重視して判定する。
ADやDAなどの論点は,最初の立論時間の間に論じるべき。逆に,総括になっての「後出し」は,どれだけ良い反論がでてもルール違反なら無視すべき。
悪い判定の典型例「否定側のアタックが素晴らしいと思った。他のスピーチは甲乙つけがたい。だから否定側の勝ち」。勝ち負けは具体的な論点AD・DAの強弱で判定。(部分的にスピーチがどれだけよくても,最終的な結論に説得力がないなら意味は全くない!)
相手スピーチ途中の質問”point of information”はこの大会では禁止されている。また勝敗の判定は主観的なスピーチ点で行わない,証拠の使用はここでは奨励されているなどの違いもある。
朗読・スピーチ大会とは違い,英語が流暢だろうとアイコンタクトがよかろうと,直接的には勝ち負けに直結させない。英語ディベート大会では,表面的な雄弁より,理性的な答弁を重視し判定する。
試合の勝敗判定には,ジャッジ自身が思いついた論点などは持ち込まない。また英語の巧拙だけで勝ち負けは判定しない。しかし,判定とは別にこうした点は是非アドバイスをお願いしたい。「自分ならこの議論にはこう反論した」「こうすれば英語が聞きやすくなる」等のアドバイスは,生徒にとって貴重なフィードバックである。試合後に,勝ち負けとは別個に,様々なアドバイスをしていただければ幸いである。
「全国高校英語ディベート大会」のジャッジは,生徒の今後の成長にも影響する点を考慮に入れ,単なる判定者ではなく,教育者として以下の三原則に配慮し,公平かつ客観的(理性的)に判定し,判定理由を分かりやすく説明するものとする
公平性fairness 両チームの議論をできるだけ公平に配慮した判定を
客観性objectivity カンやフィーリングでなく,理性的で根拠のある判定を
説明責任accountability判定理由が分かりやすく説明できるようにする
議論の内容を客観的に比較し,論題が肯定されたか否定されたかを合理的に判断して,試合の勝敗を判定する。ジャッジは,必ずどちらかを勝ち,どちらかを負けにする。引き分けはない。具体的な判定の際には,以下の三点に気をつける必要がある(上の三原則に対応。大会ルールも適宜参照)――発音コンテストではないので,スピーチや発音の上手さなどは勝敗の直接の判定理由にはいれない(もちろん聞き取りやすい英語の方が,論点が伝わりやすいので間接的には影響する)。
あくまで討論者が試合の中で出した論点の強弱のみで判定する。自分の意見や,前の試合までの記憶などは持ち込まない。ルールに従わない議論,例えばディフェンスや総括になっていきなり出された後出しの「新しい議論」は,原則として無視する
最後の総括まで繰り返し強調された論点(メリット・デメリット)の強弱を,相手の攻撃をどれだけディフェンス出来ているかを加減して評価し,総合して判定する。(立論のみ,または途中の各部分のみで判定しない。)
(前述1.のように)試合の勝ち負けの判定は,試合の中でディベーターの議論で判定する。試合に出なかったが,ジャッジの目から見て議論が拙い点などは,判定とは別に,アドバイスで述べる
あくまで討論者の議論を聞き,その内容・論点を考慮して,最終的なプラスマイナスを客観的に比較し,3人のジャッジが独自の判断で投票する。次の5ステップで判断する。
例えばメリットについては,プランがある方が,プランなしの世の中のままより,メリットが確実に得られるということが言えているかを判定。否定側のアタックを受けて回復できなかった場合などには,もっともらしさをゼロにする。逆に立論やディフェンスの証明が良ければ,100%近いもっともらしさに近づく
例えばメリットについては,「どのくらいの規模で,どの方向に良くなるのか」を判定する(デメリットなら,「悪くなる」度合い)。ほとんど理由も述べられていないなら,高く評価しない。「良し悪し」の価値については,試合中に逆転することもありえるのに注意。例えば,「海外からの旅行者が増える」のは「良い」と言われていたのを,反対側が攻撃して「旅行者が増えると,テロの危険も増える」などと逆の価値付けになる(ターンturnaround)こともありうる。
生き残った肯定側のメリットの(もっともらしさ)×(価値)と掛け合わせて,議論の強さをそれぞれ判定する。同様に,否定側のデメリットの(もっともらしさ×価値)も判定する。
肯定側のメリットの強さ(もっともらしさ×価値)と,否定側のデメリットの強さ(もっともらしさ×価値)とを足しあわし,比較にかける。
その際,比較基準value criteriaを重視する。討論では何の示唆もでていない場合は,ジャッジ独自の判断で比較評価する。
例外:どうしても差が見つからない場合
万が一,何をどう比較しても,肯定・否定の議論の強さに差がないと判断される例外的な場合は,ディベート大会などで広く採用される慣習に従い,否定側の勝ちとする。
以下のような判定チャートを埋めて判定することを奨励する
(論題:「日本は、英語を第2公用語にすべきである。」)
①論点リスト | ②もっともらしさ | × ③価値 | = ④議論の強さ |
メリット1
渡航者が増え,国際交流が進む |
高い
(海外からの渡航者が増える証明が秀逸) |
大きい (国際交流の価値) |
◎ (説得力がある論点) |
メリット2 英語で世界共通文化できる |
ゼロ
(ほとんど証明がない) |
大きい (新たな世界文化) |
×
(価値は大きいが実現可能性ない) |
デメリット1
日本人の日本語力の低下 |
ある
(肯定の攻撃で減らされたが残っている) |
小さい
(何で日本語力が落ちると悪いのか説明不足) |
△
(可能性はあるが深刻な問題とは伝わらない) |
デメリット2 税金が遣われる |
×
(試合の途中で忘れられる) |
⑤比較基準 肯定側は,国際交流の方が,一国の視点より重要だと指摘
否定側は,特に基準を言っていない
結論 肯定側の勝ち メリット1とデメリット1は両方あるが,メリット1の方が証明として強いし,しかも肯定側の基準の方が明確で納得がいき,結果としてデメリットを上回る
各ジャッジは,各チームに5点満点・最低点1点のコミュニケーション点をつける(小数点はなし,整数のみ)。コミュニケーション点は,各チームがどれだけ効果的に聴衆・ジャッジとコミュニケーションをとることに成功したかで採点する。基準は,反則などの減点がない限り,次のようなスケールで採点する(3が平均。5や1は例外。)
5 Excellent | 全てのスピーチが分かりやすい(スピードも適切で,間の取り方なども良い)。かつチームの全員が聴衆とコミュニケーションがとれている(アイコンタクトも適切で,マナーも良い) |
4 Good | ほとんどのスピーチが分かりやすい。ほとんどのメンバーが聴衆とおおむね良く
コミュニケーションができている |
3 Average | 多少の難はあるが,おおむねスピーチもわかりやすく,メンバーの過半が問題ない
コミュニケーションができている |
2 Below
Average |
スピーチが分かりにくくなることが目立ち,コミュニケーションが取れていないことも目立つ |
1 Poor | スピーチのほとんどが分かりにくく,チームの誰もコミュニケーションを取れていない |
あるチームの①メンバーの試合態度が悪い(私語・異音で妨害,ジャッジの試合指揮に従わない),②質疑の際に対戦相手へのマナーが悪い,③あまりに質疑に応答しない,④相手側の証拠資料の閲覧に協力しない場合には,ジャッジはその違反のひどさに応じて,適宜コミュニケーション・ポイントを減点する。減点があった場合でも,最低点が1点を下回ることはないものとする。
ジャッジ(とりわけメイン・ジャッジ)は,試合の単なる進行以外にも,教育的な観点から必要最低限の試合指揮を,以下に該当するケースでは行う(ただし試合内容には口出ししない)
1. スピーチ伝達上の問題がある場合――スピーチがあまりに小さい声で行われている,もしくは高校生が理解できる通常の英語会話スピードをはるかに上回るスピードでスピーチが行われている場合。
2. 質疑の進行に問題がある場合――質疑が質問形式でなく,延々とスピーチになっている場合。質疑が攻撃的になっている時。応答側が,明らかに答えを引き延ばそうとしているとき,あるいは,あまりに質問がないときなど。
3. 静寂性の確保の上で問題がある場合――スピーチ中に私語や,異音(よくあるのはボールペンのカチャカチャ音)を発している生徒・観客がいる場合。試合場周辺の物音がひどい場合など。